横浜地方裁判所 昭和49年(む)83号 決定 1974年1月30日
主文
一、横浜地方検察庁検察官松浦洵が昭和四九年一月二九日、神奈川警察署に赴いた申立人に対してなした横浜地方検察庁で検察官の接見指定書を受取りこれを持参しないかぎり申立人と被疑者との接見を拒否する処分はこれを取消す。
二、検察官は被疑者太田洋子と申立人に対し、昭和四九年一月三〇日午後四時から同五時までの間、継続して三〇分間接見させなければならない。
理由
本件準抗告申立の趣旨および理由は、申立人提出の準抗告申立書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
よつて検討するに申立人の疎明書類によれば、横浜地方検察庁検事松浦洵は、神奈川警察署に臨んで接見を求めている申立人に対し、昭和四九年一月二九日午二時後すぎころ、横浜地方検察庁まで指定書を受取りにくることを求め、この指定書を神奈川警察署に持参しない限り申立人と被疑者との接見を拒否する旨の処分をした事実が疎明されるが、検察官が右のような制約を課するにおいては検察官が接見指定書なる書面を発布し、弁護人が予め検察庁へその指定書を受取りにこないかないかぎり被疑者とその弁護人または弁護人となろうとする者との接見交通を一般的に禁止する結果になり、被疑者らの防禦の準備をする権利を不当に制限するおそれがあるので、これを取消すをもつて相当とし、なお検察官の右処分にかわる指定をする必要があるものと認め、刑事訴訟法四三二条、四二六条二項により主文のとおり決定する。
(草野隆一 木村要 野崎惟子)